【GHSマンガ 第1話】Good Humor Story〜安全でGoodなヘルスソフトウェア

 

なぜ、計測結果の取り違えが発生したのか

 

大ノ鳥病院にクレームを突きつけた日須京子さん。
この事例では日須さんの健康診断結果に、明らかに自分のデータではないデータが間違って反映されていました。

 

なぜ、このような取り違えが発生したのでしょうか?

 

理由はズバリ「人違い」。つまり受診者の取り違えでした

 

この場合、日須さんが健康診断を受けた時、確かに身体計測計には日須さんの受診者データが健診システムから送信されていました。
しかし、自分の計測の順番になった際、日須さんは何らかの理由(たとえばお手洗いへ行ったなど)により、直前になって、その場を外してしまったのです。

 

そこに次の受診者(この場合、仮にAさんとします)が来ました。
健診システムからはAさんの受診者データが送信され、Aさんは身体計測をします。

 

しかし、身体計測計の受診者情報としての認識は、Aさんの一つ前の日須さんのままの状態だったのです。

 

結果的にAさんの受診者データを受信したにも拘らず、身体計測計はAさんの測定データを日須さんの測定データとして健診システムに送信してしまいました。
こうして受診者の取り違えが発生したのです。

 

身体計測計は身体を正確に測る機能には優れているものの、その人が誰なのかまでは認識できません。
もちろん、健診システムも受診者の取り違えがないように、スタッフの運用と併せ、操作面や機能面で二重三重のチェックを行っています。

 

しかし、今回の事例は、身体計測計・健診システムともに想定しない出来事でした。
想定しない出来事が発生した場合、何の警告表示もないまま一連の処理をすり抜け、ときとして今回のような取り違えが発生してしまうのです。

 

ヘルスソフトウェアを開発する企業は、このような事象が再発しないようにしなければなりません。
また、事前にユーザビリティ(使い勝手)に関するリスク分析を行って、ヒューマンエラーを発生させないように、ソフトウェアの信頼性を高めたり、リスクを起こさせないユーザーインターフェースを設計する必要があります。

 

※BMI…BMIはBody Mass Index(ボディ・マス・インデックス)の略称で、「体格指数」などと呼ばれることも。[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出され、太っているか、やせているかといった肥満度を表す指標となります。なお、日本肥満学会では、BMIが25以上の場合を肥満と定めています。

 

 

血圧値管理アプリの「まさか…」

 

昨今のスマートフォン・タブレットの普及で、個人の健康管理もアプリで行うことが出来る時代になりました。
ユーザーは病院や診療所に毎日通うことなく、手軽に自分の血圧を計測することができます。
また、日常における血圧の変化をリストやグラフで確認することができるため便利です。

 

今回、血圧値を記録するアプリを使用していた高血圧の南出さん。
南出さんは血圧計を携帯しており、毎日朝晩血圧を計測してアプリに記録していました。

 

南出さんは海外旅行している際にも血圧値を測定して記録していました。
ところが、日本に帰ってきてデータを見てみると、計測値の「データ抜け」が発生していたのです。

 

これは、日本と海外との時差の違いが考慮されていなかったため、海外で記録した時刻が日本での測定時刻よりも前になってしまいました。
こうして、アプリが異常データとして判定したため記録できずに「データ抜け」が発生したのです。

 

今回の血圧管理アプリが、自己管理するためのデータであれば大きなリスクにはなりません。
しかし、患者がデータを医師に提供して、医師が今後の治療方針を判断するために使用してしまったら・・・。
大変なことになっていたかもしれません。

(※個人の健康管理の範囲を超えて、医師が診断や治療を行うために使用することを意図したヘルスソフトウェアは医療機器プログラムとなる可能性があります。)

 

健康情報を扱うヘルスソフトウェアに求められること、それは、誰に、どのような用途で使われるのか。
また、ヘルスソフトウェアを使用する際に、どんなリスクが想定されるのかを事前に分析することです。(「リスク分析」といいます。)
薬機法対象外のヘルスソフトウェアには、規制のための基準は存在しません。

 

ただ、そのソフトウェアがどのような機能や性能を持ち、どのような使用を想定し、健康に関するどのようなリスクが存在するのかを事前に知っておく必要があります。
リスク分析の結果によっては、対象のヘルスソフトウェアは法規制対象の医療機器と見なされる場合もあります。

 

たとえ、発売当初はリスクがなくても、ユーザーの求めに応じたり、ヘルスソフトウェアの機能や性能を向上させたりすることで、使用目的が変化していくこともあります。

 

こうして、知らぬ間にリスクが高まっていた・・・ということにもなりかねません。

 

個人の血圧値を管理するアプリが設計者の意図通りに動作しなかった場合、ユーザーが日常の血圧の変化を正確に把握できない恐れがあるのです。
たとえ、薬機法対象外のヘルスソフトウェアであっても、何らかのリスクがあるということを把握しておくことが必要となります。

 

ヘルスソフトウエアに求められること

 

現状において、開発・運用されているヘルスソフトウエアには大きな2つの問題点があります。
まず、ヘルスソフトウェアメーカーが、使用目的に対してリスク分析を十分に行っていない場合があることです。

 

2つめは、何かしらの問題が起こったときに、その問題が使用者の健康にどのような影響を及ぼすのか。
これを分析して再発防止するためのプロセスが会社組織に定着していないかもしれないということです。

 

ユーザーに対して常に正確なデータを反映する製品を提供し、健康に関するリスクをマネジメントできる取り組みを行うことが、ヘルスソフトウェアの開発組織には求められています。

 

ヘルスソフトウェアの開発はGHS開発ガイドラインを使いましょう

 

ヘルスソフトウエア開発企業の皆様、貴社の機器の安全対策は十分でしょうか?

 

ヘルスソフトウェア推進協議会(GHS)では、薬機法対象外のヘルスソフトウェア製品に対して、IECやISOの国際規格に準じた業界統一の開発ガイドラインを設けています。
また、それを十分に理解していただき、安全面のリスクを最小限にするためのセミナーを随時開催しています。

 

開発ガイドラインに基づいて作成されたヘルスソフトウェアに対して、GHSが認定したマークを付与する取組みも行っています。(GHSマーク制度)
GHSマークを取得することにより、取得した企業がヘルスソフトウェアに対するガイドラインを考慮して製品開発をしていることを、ユーザーに示すことができます。

 

ぜひ、GHSにお問い合わせください。

 

 

GHS(一般社団法人ヘルスソフトウェア推進協議会)のホームページはこちら

 

作画:まよなか
作画者紹介
2001年からデザイナーとして紙媒体から映像まで色々な経験を積んできました。
© 2018 moriyama kyoko/TOKYO Sprout Design inc./GHS

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